小麦粉の種類について検索してみた

小麦粉に水を加えて捏ねると、含まれているたんぱく質の多く(グリアジンとグルテニン、両者はほぼ同量)がつながってグルテンができる。パン生地を捏ねていると薄い膜になるアレだ。

小麦粉中にはたんぱく質が6~15%含まれている。文献によっては5~25%となっているが、これは小麦種子のデータだろうか。市場に出回っている小麦粉には12%前後のものが多く、そのほかに炭水化物、脂質、ビタミン・ミネラルが含まれている。

 

粘着性と弾性を持つグルテンの量やタイプが異なると、当然硬さなどに違いが出るため、小麦粉はその量によって大きくは3つに分けられている。

 

 

薄力粉の性質

薄力粉は、軟質小麦(粒が軟らかい)を原料とする小麦粉。たんぱく質の割合は3種類の小麦粉の中で一番少なく、8.5%前後以下である。粉の特徴はきめが細かく、しっとりとしている。原料となる軟質小麦の主な産地はアメリカだが、薄力粉に相当する「Cake flour」は、現地スーパーの粉売り場では実は文字通り隅に置かれていたりする。もっとたんぱく質の多い「All purpose flour」が主流だ。
 

薄力粉の用途

薄力粉は粘性が弱く、もちもちした食感を生み出すことはできない。逆に、サクっとした軽い食感やふんわりとした柔らかい、クッキーやケーキに最も適している。 
 
 

強力粉の性質

強力粉は、「パンコムギ」と呼ばれる硬質小麦を原料に作られている。日本で強力粉を作るために輸入している硬質小麦の主な産地はアメリカで、次いでカナダである。たんぱく質の割合が11%以上の小麦粉を強力粉と呼ぶことが多く、たんぱく質の含有量が3種類の小麦粉の中で一番多い。
一般的に外国産の方が国産小麦に比べてたんぱく質量が多く、たん白質自体も強めなのでボリュームのあるパンに仕上がるそうだ。
英語圏では「Strong flour」や「Bread flour」と表記されるものが強力粉にあたる。粉が比較的粗く、薄力粉に比べるとサラサラとしている。
国産の強力粉は、気候や風土の関係等から、外国産の小麦に比べると粉自体が水分を多く含んでいて、生地が柔らかくなる傾向があるらしい。また天然酵母との相性がとても良いとされていて併せて使うことでより小麦の風味を引き立てることができるそうだ。
 
 

強力粉の用途

強力粉にはグルテンが多く含まれており、粘性と弾力性の豊かさが特徴である。ゆえにボリュームがでて、もっちりとしたパン作りに最適な小麦粉である。しかし強力粉でケーキを作ると、グルテンによって粘り気のある生地ができ、硬くてぼそぼそとした仕上がりになる。弾力を特徴とする強力粉は、パンのほかにもパスタやピザ生地、餃子の皮などにも適している。
 
 

 

中力粉(と、準強力粉)の性質 

中力粉とは、中間質小麦と軟質小麦から作られた小麦粉である。日本で出回っている中力粉の多くはオーストラリア産だが、中には国産のものもある。タンパク質の割合は9%ほどである。前述のAll purpose flourは中力粉の位置づけだ。
 
ややこしい書き方をしてしまったが、準強力粉とは製粉会社がフランスパン専用の小麦粉として販売している小麦粉である。リスドォルが有名で、ほかにはトラディション、レジャンデールなど。
準強力粉は一般強力粉に比べるとたんぱく質の量がやや少なくミネラル分が多くなってる。小麦粉の袋にたんぱく質と灰分の含有量が表示されていることがあるが、私はミネラル=灰分と思うことにしている。灰分は小麦の等級分けにも使われる。灰分が少ないほうが色は白くなり上級粉となり、多ければ下級粉となるがパンの風味に深みを与え、色づきもよくなる。

中力粉(と、準強力粉)の用途

中力粉は、粘性や弾力性においても薄力粉と強力粉の間ほどである。そのため、ふんわりだけでなく、かと言って硬さや粘り気だけでもない独特の食感を作り上げることができる。中力粉は「うどん粉」と呼ばれることもあり、コシあるうどんに用いられる。
また、All purpose flour は、アメリカではお菓子はもとより、料理レシピの多くは一般的にこちらの小麦粉を使用している。まさにall purpose=すべての目的にかなう粉、ということか。しかし経験上、料理はともかく、お菓子は重めに仕上がる。日本の薄力粉のように使うとうまくいかない場合がある。
 
準強力粉は中力粉の別名ではなく、製粉会社がフランスパン専用の小麦粉として販売している小麦粉で、一般強力粉に比べるとたんぱく質の量がやや少なくミネラル分が多くなっている。代表的なものはリスドォルで、これにはモルトパウダーが添加されている。フランスパンは生地を長くのばして作るので、強力粉で作った生地は弾力が強く、延ばしにくい。準強力粉で作ると明らかに出来上がりが軽い。
 
 
 
アメリカの小麦粉事情☆
余談だが、アメリカでは先のBread flour、 All purpose、 Flour cake flourの他に薄力粉に分類されるPastry flour(ペストリー、パイ生地向け:サクッと仕上がる)、Self-rising flour(all purpose flourにベーキングパウダーと塩を添加したもの)、Breached(漂白された)、Non-breached flour(漂白していないので真っ白ではない小麦粉)などがある。使う用途が名前に反映されていてわかりやすいが、種類が多すぎて迷ってしまうこともある。また、小麦粉以外にもグルテンフリーのRice flour(米粉)、Almond flour、Corn flourと色々売っている。もち粉はMOCHIKOの商品名でスーパーで購入可能。