パンの酸っぱい匂い 検索してみた2
前回の自家製天然酵母パンから香る酸味についてだが、実は「有害」な物質の生成を想像させるようなにおいではなかった。総菜パンや菓子パンにしてしまえば気づかなかったかもしれない。
たかが風味。されど菌。
≪発酵≫
発酵については生物学的、そしてパンのような食べ物に影響する食品学的な物質の生成の現象であるが。ここではパン作りにおける発酵について考える。
広い世界で生きているさまざまな菌たちは、ある時小さな1つの瓶の中に集合し、生活を共にする事になる。果実の表面などに付着している酵母たちだ。
ここがインスタントドライイーストとの違いで、インスタントドライイーストはパンに適した単一の菌のみが純粋培養されたサラブレッドの集団。
一方、自家製天然酵母は雑多な生き物の世界で生きる運命。
パン酵母は、酸素のある状態と酸素のない状態で二つの違う働きをする。
天然酵母エキスを作るとき密閉ビンを用いると、酵母はビンの中の酸素を使って増殖し、 酸素がなくなったらアルコール発酵を始める。 最初の数日は見た目に変化がなく、数日後から泡が出始め、レーズンを用いるとワインのような香りを放ち始める。 パン酵母はアルコール耐性が強いので、生き残る。しかしこの状態では酵母が増え無い為、日に一度程度、ふたを開けて酸素を補う。
そして瓶の中という狭い強制収容所を経て、その他のパンの材料と出会い、酵母と乳酸菌が共存し発酵する。共に菌だから糖類を取り込んでエネルギーを作る。その時の代謝産物が乳酸であったり、アルコール(香り成分)、酢酸、二酸化炭素(炭酸ガス)だ。また、アルコールからも酢酸ができる。
乳酸は刺激臭や苦みがない穏やかな酸味成分らしい。一方、酢酸は強い酸味と刺激臭があるとか。
酸が増えて酸っぱくなる。
書いてしまえば短い一行だが、エサ(糖類)あってのキン(菌)、キンあってサン(酸)だ。
ということで次回は酸を増やさないことについて検索する。
台湾産のマンゴー使用のエキスは相変わらず濃厚な熱帯雨林を思わせる香りを激しく放出している。
ところが、元種にしてみたら熱風で木から勢いよく落ちたような果実の香りは落ち着き、ほのかに甘い 優しい香りになった。
継ぎ足しをして、良い菌が優位になるように整えよう。